「市民しんぶん」交通問題特集号(その3)

いま「市民の足」の主役はバスです


市電から市バスへ

市電から市バスに代わった路線

  • 北野線(昭和36年8月,京都駅~北野車庫
  • 伏見・稲荷線(昭和45年4月,京都駅~中書島,稲荷

    市電から市バスに代える路線

    昭和46年度

  • 千本線(千本北大路~四条大宮)
  • 大宮線(四条大宮~九条大宮)
  • 四条線(祇園~四条大宮)

    昭和47年度

  • 烏丸線(烏丸車庫前~七条烏丸)

    昭和48年度

  • 丸太町線(円町~天王町)
  • 白川線(銀閣寺道~天王町)
  • 今出川線(白梅町~銀閣寺道)

    市電を残す路線

    西大路,北大路,東大路,九条,河原町,七条の各線

  • お昼はガラあき・・・(1600型第2エンド)


    市電より便利なバス

       市電をはずす路線には,今まで走っていた市電とほぼ同じ系統で,ラッシュ時には回数もふやして新しい大型バス(定員80名ていど)を走らせます。
       このほかに,今までから走っていたバスもあり,バスに一本化されて,停留所も一つにまとまって,乗りやすくなります。
       現に,昨年4月からバスに切り替えた伏見線では,その後交通事故も半分に減っています。
       市電がなくなると,市バスを含めて街中の自動車の台数がふえ,道路の混雑がきびしくなるといわれていますが,大量輸送機関が整備されれば,そう車はふえないものと予想されます。

    早朝・深夜も市電なみに

       今までからバスは「朝の始発はおそく,終発は早いというご不満がありましたが,市電の代りに走るワンマンバスは早朝,深夜も市電と同じように走らせます。伏見線の例でも,市電撤去後の市バスは,京都駅前,中書島とも始発は5時30分,終発は23時10分となっています。

    床の低い大型バスを採用  乗りやすくゆれも少ない

       バスの運転回数が増えると,大気汚染がひどくなるとお考えになるかも知れませんが,市バスはディーゼル車で,軽油を燃料にしていますので,最も有毒な「一酸化炭素」の排出はゼロです。炭化水素,窒素酸化物はガソリン車,プロパン車の2分の1から5分の1,もちろん鉛化合物は関係ありません。ただガソリン車などにはない亜硫酸ガスが若干出ますが,これらは重油ボイラーからのものに比べてごく少量です。
       メーカーや他都市と共同で,排気ガス,騒音を出さない「電気バス」の開発にもとりくんでおり,実用化もそう遠くはありません。
       またお年寄りやこどもさんが乗りやすいよう,床の低いバスに切りかえていきます。これで,ゆれるのもだいぶ減ります。

    市電と市バスの長所・短所

    市電市バス
    スピードおそいはやい
    乗りごこちよいゆれる(床の低いものを走らせる)
    1キロ走るのにかかる費用(1台あたり)439円187円
    乗れる人数(1台あたり)130人100人
    価格(1台あたり)1600万円380万円
    排気ガス出さない一酸化炭素はゼロ,炭化水素・窒素酸化物・亜硫酸ガスはいくらか出る(電気バスを開発中)
    騒音大きい小さい
    乗り降りの安全安全地帯へ渡るのが危い歩道からすぐ乗れるので安全
    路線をふやすにはレール・架線などの建設費が高くつく道路さえあればどこへでも延長できる

    路面電車は道路と併用できる唯一の実用的な軌道系交通機関で,その意味では本質的にデュアルモードと言える。その特性を生かしてヨーロッパを中心に混雑区間の路下化や郊外線への直通が実施されたが,日本では前者の実施例は皆無。さらに路面電車運転規則によって連結運転も制限されたため1車1人以上の省力化は実施できず,電車の特性を生かす使い方ができなかったのが敗因。

    バスでは走行路確保に関る費用が外部化されているが,電車では軌道や架線を自前で整備する必要があり,バスの定員が電車のそれに匹敵するレベルに上がれば,企業会計的には電車が不利になることは当然。社会的費用で判断すべきだが,独立採算制の枠組みでは無理があることも事実。

    路上駐車のためにバスが歩道に近づけない現状で,歩道から直接乗れるから安全というのは説得力がない。また安全地帯は交差点直近に造ることができるが,歩道上の停留所は右折ポケットの関係で交差点から遠ざかる一方で,乗換えには極めて不便である。さらに現在ディーゼル車最大の問題とされる,大気浮遊粒子状物質(SPM)に関しては触れられてい ない。それも含めて「いくらか出る」というのは,排ガス問題を矮小化しようとしているようにも見える。