※鋼索線の休止日は2月11日であるが,平坦線の休止日は2月11日と12月11日の2説がある。和久田康雄氏の書物は前者を採用しているが,同年1月11日に単線化が実施されていることから,後者が正しいと思われる。 (幻の鉄道「愛宕山鉄道」を訪ねて)
鋼索線の駅は愛宕と清滝川,平坦線の駅は清滝,鳥居本,釈迦堂,嵐山であり,嵐山は嵐電と共同使用であった。下に当時の路線が掲載されている陸地測量部地図(部分)を示すが,目をこらせば駅を読み取ることができるかも知れない。愛宕山鉄道は僅か15年足らずしか存在しなかったため,その路線が掲載された地図を見る機会は少ない。平坦線については,嵐山駅への取り付け部分を除いて,すべて現在でも道路敷となっているので,路線跡をたどるのは容易である。
愛宕山鋼索線   清滝川を挟んだ洛西の幽辺境清滝公園を起点として,愛宕山上に通ずるもので,水平距離1哩3分2厘。規模の雄大なる東洋一の称がある。 頂上終点愛宕駅までに隧道6ヶ所,橋梁6ヶ所あり。山頂にも遊園地あり眺望佳絶にして京洛は無論,丹波滋賀大和の地方まで手に取る如く一望に収め得べく。
年前の鋼索線跡 写真はいずれも1967年5月と10月に撮影。この当時,隧道の半数は土砂崩落で埋まっていたが,残りの半数は歩いて通り抜けることができた。風化しつつあるコンクリート橋梁の脇には,キロポストがまだ朽ち果てずに残っていた。当時,愛宕山ケーブルをロープウェイで復活するという計画があって,10月には愛宕駅の廃墟で測量作業中の人に出会った。
清滝駅跡付近から鋼索線起点清滝川駅跡方向を望む 起点付近の軌道跡 中間点より山頂寄りの軌道跡
上右写真付近の軌道跡からの眺望 終点愛宕駅(独標745m付近)の廃墟