京都市交通事業財政再建計画 (1970年11月)-その3-


5. 財産の処分 (財産処分計画)

年度現行計画 変更計画差引
土地面積予定価格土地面積予定価格 処分対象の主なもの土地面積予定価格
419,744.39m2(2,947.68坪)158,865千円 9,744.39m2(2,947.68坪)158,865千円交通局病院第2病棟用地
山端保養所用地
0m2(0坪)0千円
4232,728.94(9,900.51)532,610 32,728.94(9,900.51)532,610松ヶ崎雑用地,塔南用地 0(0)0
433,642.97(1,102.00)149,321 3,642.97(1,102.00)149,321交通局病院用地 0(0)0
4428,938.37(8,753.86)655,087 27,647.09(8,363.24)619,201伏見線軌道用地
稲荷線軌道用地
梅津延長道路
白川北山通
四条営業所用地
上堀川営業所用地
△1,291.28(△390.62)△35,886
4515,809.19(4,782.28)1,024,788 17,150.42(5,188.00)1,169,825四条烏丸市バスセンター
竹田変電所用地
三条変電所用地
今出川延長道路
元二条現業員共住公舎用地
壬生営業所用地
1,341.23(405.72)145,037
4614,758.16(4,464.34)429,140 42,748.79(12,931.51)2,775,316丸太町通
西ノ京変電所用地
七条変電所用地
27,990.63(8,467.17)2,346,176
4740,476.02(12,244.00)1,918,456 22,909.09(6,930.00)1,312,194西五条通
烏丸営業所用地
△17,566.93(△5,314.00)△606,262
48396.00(119.79)10,000 10,275.67(3,108.39)985,367錦林営業所用地
田中変電所用地
9,879.67(2,988.60)975,367
146,494.04(44,314.46)4,878,267 166,847.36(50,471.33)7,702,699 20,353.32(6,156.87)2,824,432
筆者注:要するに土地資産売却により累積赤字を穴埋めする計画に他ならず,市中心部に位置し,価格の高い市電の車庫・変電所を早期に売却することを迫られた結果,路面電車の廃止が繰上げられた経緯が判る。当面の赤字さえ解消できれば,交通事業自体はどうなってもよいという,自治省のスタンスも読み取れよう。しかし専用軌道に限らず,多くの幹線道路がこの時点では交通局財産であったことは驚き。もっとも道路敷を建設局へ売却するのは随意契約なので,それほど高額は期待できなかったと思われる。バブル以降は,土地売却で赤字を解消するという計画自体が難しい訳で,それでもよい時代だったと見るべきか?
6. 近代化計画

(1) ワンマン化計画

(路面電車ワンマン化計画)

区分・年度4142434445464748
現行計画在籍車両数(年度末) 346両346336303290229173173
うちワンマン車両数51両87123173173173173173
ワンマン化率15%2537576076100100
変更計画在籍車両数(年度末) 346両34633633626116813292
うちワンマン車両数51両8711817317316813292
ワンマン化率15%25355166100100100

(一般乗合バスワンマン化計画)

区分・年度4142434445464748
現行計画在籍車両数(年度末) 503両514564591654686859872
うちワンマン車両数55両125215312445547785798
ワンマン化率11%24385368809192
変更計画在籍車両数(年度末) 503両514556631654750826894
うちワンマン車両数55両125215353445611752831
ワンマン化率11%24395668819193

(2) 施設の整備(施設整備計画)

年度現行計画変更計画
41梅津営業所の建設。梅津営業所の建設。
42四条営業所を廃止し,梅津営業所へ統合。四条営業所を廃止し,梅津営業所へ統合。
43鞍馬口変電所の無人化。
44梅津変電所の廃止。梅津変電所の廃止。鞍馬口変電所の無人化。
45上堀川営業所を廃止し,A地区営業所へ移転。
三哲営業所の新設。醍醐営業所の改築。
西ノ京変電所の無人化。竹田変電所及び三条変電所の廃止。
上堀川営業所を廃止し,西賀茂営業所へ移転。
三哲営業所の新設。醍醐営業所の改築。
竹田変電所及び三条変電所の廃止。
46壬生営業所の廃止。西ノ京変電所及び七条変電所の廃止。
47壬生営業所の廃止。B地区営業所の新設。
衣笠変電所の廃止。
(横大路)営業所の新設。
48七条変電所の廃止。錦林営業所の廃止。田中変電所の廃止。

7. 職員の配置 (職員計画)

年度・区分現行計画変更計画差引
軌道自動車関連軌道自動車関連軌道自動車関連
41年度当初(A)2174人2225人307人4706人2174人2225人307人4706人 0人0人0人0人
41年度末207321582564487 207321582564487 0000
42年度末201621502234389 201621502234389 0000
43年度末193920912264256 193920912264256 0000
44年度末178020852224087 174921252314105 △3140918
45年度末156220972053864 140521132033721 △15716△2△143
46年度末141420241873625 95722031853345 △457179△2△280
47年度末93822871843409 79922631833245 △13924△1△164
48年度末(B)87222981813351 56323771793119 △30979△2△232
差引(B-A)△130273△126△1355 △1671152△128△1587
筆者注:土地資産売却が累積赤字を穴埋めするためならば,経常収支の改善には人件費削減が急務であって,ベア実施と引き換えに強力な人減らしが実施された。電車のバス代替により,自動車部門の人員は多少増加しているが,運輸部門全体の人員は主としてワンマン化により急減している。関連部門としては,交通局病院を始めとする,福利厚生の縮小が大きい。
    ともあれ第3次計画は,京都市電の命運を決したものと言える。第2次計画では,将来的には河原町線等の廃止を盛り込んでいたものの,昭和48年度までの計画期間内には,伏見・稲荷線,千本・大宮・四条線と地下鉄建設と引き換えになる烏丸線の廃止が計画されていたに過ぎない。第3次計画では,車庫用地の処分が重要な累積赤字解消策となり,計画期間内の廃止が明記された。最終的に昭和51(1976)年春に,全線廃止の方針が打ち出されるに至ったが,その道を開いたのはこの修正計画であった。(12/8/02)