Route Numbers and Color Codes


Subway routes in New York City (MTA)

New Yorkの地下鉄駅入口には,その駅を通過する系統番号が表示されている。下は2010年3月現在運行中の系統一覧だが,ひし形のものは主としてラッシュ時に運行される臨時系統で,常設系統は円形である。


一見して判るように,数字の系統名とアルファベットの系統名が混在しているが,それは路線の由来と関係している。(他に数字とアルファベットの系統が混在する例としてWienの路面電車やParisの地下鉄があり,かつての大阪は大阪市電の数字系統と阪堺線の「い・ろ・は」が混在していたと見ることもできる。)

現在のMTAの地下鉄路線の前身は,2つの民間会社と1つの市営地下鉄からなる。
(1) IRT = Interborough Rapid Transit Co.:
最も古い会社で,1870年2月に9th Ave.の高架鉄道を開業。その後も2nd, 3rd, 6th Aves.に高架鉄道を運行したが,地下鉄の建設に伴って縮小され,最後に残った3rd Ave.の路線廃止(1955年5月12日)をもって,Manhattanから高架鉄道は消滅する。最初に地下鉄を開業したのもこの会社で,最初の路線はLexington Ave.のCity Hall~Grand Central Station間で,1904年10月27日の開業である。
代表的路線には,Lexington Ave.を南北に走る4・5・6系統,Broadway~7th Ave.を走る1・2・3系統とその鈍行線である9系統(廃止),42丁目を東西に走るCorona/Flushing線の7系統などがある。つまり数字系統の路線は,概ねIRTに由来すると考えてよい。

(2) BMT = Brooklyn-Manhattan Transit Co.:
BMTは1915年に運行を開始したBrooklyn Rapid Transitの後身であり,Manhattan島南部とBrooklynを結ぶ8ルートのうち,F・J・L・M・N・Q・R・W・Zなどが運行される5ルートがこの会社に由来すると考えることができる。

(3) IND = Independent Rapid Transit Railroad:
New York市による公営地下鉄は,1932年に建設された8th Ave.の路線が最初で,その運営主体としてINDが設立された。この路線を運行するA・C・E系統,6th Ave.から63丁目に曲がるB・D・F(一部), V系統,BrooklynとQueensを南北に結ぶG系統,R系統のQueens区間などがこれに由来する。

1940年に市当局がBMTとIRTを買収して,地下鉄経営の一元化が図られた。その後New York City Transit Authority (現在のMTAの前身)が1953年に設立され,バス,(当時は少し残っていた)路面電車を含む交通全体の一元化が図られることになる。(余談であるが,Manhattan島南部やWashington D.C.では架線が景観上の理由で禁止されていたため,(+)の電車線はOゲージよろしく軌道中心に引かれた暗渠内に設置されていた。)

地下鉄経営が一元化されてから60年経過するが,今だにIRTとINDを区別する人が居る。一つには最小曲線半径の関係で使用車両のサイズがかなり異なるせいかも知れない。(IND/BMT車の車両長は75feet 4扉であるのに対して,IRT車は51feet 3扉である。)
※New York地下鉄車両の網羅的写真はこちら


Lexington Ave.59丁目の地下鉄入口。4-5-6系統の表示は壬生廃止後の烏丸線を想起させるが,4-5系統は急行運転をするので,4-5-6系統の表示が揃うのはManhattanの一部駅に限られる。ところで京都駅前1番線の乗り場案内は右上のようであった。(写真が不鮮明なため,表示内容を図に起こすと右下のようになる。) 残念ながら4-5-6ではなくて,4-6-5系統の順だったが,これは11系統の表示をそのまま5系統に挿げ替えたためだ。(2009.11+1973.3)

西日本事業者の系統板の色使い

近畿より西で現在路面電車が運行される都市のうち,系統板を使用する都市の色使いを並べてみよう。(高知は「いの」「ごめん」といった行先板,松山は環状線のみ経由地表示があるが系統数字ではない。)

Hiroshima
Kumamoto
Nagasaki

広島の7系統(広島駅-横川)は円板が導入される前に廃止されているが(円板廃止後に復活),対岸の松山と同様に4系統は欠番になっている。 なぜか西日本の2系統は京都をはじめとして,白地に黒字が多かったような気がする。広島の2系統(広島駅-己斐)は宮島系統の増便に伴って運転されなくなり,現在は宮島系統自体が2系統を名乗るようになったが,系統板の廃止と共に色も変更された。長崎の2系統(赤迫-築町-蛍茶屋)は系統図にはないが,朝ラッシュ時と早朝・深夜に運行される。

熊本では3系統の短縮系統(交通局止)に赤地が用いられたことがあるが,1系統(田崎橋-子飼橋)廃止後のことである。New Yorkも含めて赤が1系統に来ることが多いような気がするし,現在の広島の5系統(比治山下経由)は緑になるなど,5と緑の関係も深そうだ。

広電天満橋を渡る2系統1912号中島川を渡る2系統308号
(Rev. 4/1/2010)